『あらわれを哲学する——存在から政治まで』
(荒畑 靖宏・吉川 孝 編著、晃洋書房 刊、本体3,300円+税、300ページ、A5判上製、2023年3月30日発行)
金木犀舎は組版や装丁など、制作一式を担当させていただきました。
【カバーと帯】
カバー用紙で、はじめてベルベットPPに挑戦させてもらいました!
グロスPPやマットPPがよく知られていますが、ベルベットPPは珍しいと思います。
その名のとおり、ベルベットっぽい、ぬめっとした、しっとりした? 独特の手触りです。
世界のあり方を「あらわれ」という言葉のあらゆる側面から、複数の先生方が哲学的に探究した本書の原稿を拝見して、制作が進んでいくうちに「ベルベットPPがぴったりなんじゃないか」と考えるようになりました。
いつものように何案かデザイン案を出して、選んでいただいたデザインが書名がぐるっと一周する挑戦的なものだったので、これならベルベットPPでぜひ!となりました。
PPをかけてしまうのですが、白色具合と、印刷にニュアンスが欲しかったので用紙はコートではなくタントです。
【本扉】
帯と本扉の用紙を今回は同じにしました。ファーストヴィンテージです。
見返しも色違いのファーストヴィンテージ。
クラフト紙ベースの、少しもやっとしたというか、ニュアンスのある用紙です。
「あらわれ」の概念をイメージしています。
【章扉】
本文も、提出したなかで一番挑戦的なデザイン案を選んでいただきました。
部扉はしずくが増えていき、最後にぎゅっとくっつきます。
このデザイン作るとき(しずくを描いているとき)楽しかった。ふふ。
【本文】
本文は、部ごとに版面が上寄せ、下寄せ、と入れ替わる仕様にしています。
【はなぎれ】
【表紙】
ぜひ実際の本を、手で触れて読んでほしいです!
現象学の無限の可能性
すべてはあらわれざるをえない。
世界は、その根本のところで、<なにかが・なにかに対して・なにかとしてあらわれる>というあり方をしているのではないか。これが私たちの直観である。そしてこの直観は、さらなる哲学的探求へと開かれていく。
(帯文より引用)
著者について
50音順 ※は編著者
秋葉 剛史(第2章) 千葉大学文学部准教授
秋保 亘(第8章) 玉川大学文学部講師
※荒畑 靖宏(はじめに、第1章) 慶應義塾大学文学部教授
植村 玄輝(第6章) 岡山大学学術院社会文化科学学域准教授
岡嶋 隆佑(第3章) 新潟大学人文学部准教授
小手川正二郎(第11章) 國學院大学文学部准教授
小林 徹 (第9章) 龍谷大学文学部准教授
斎藤 慶典(第16章、あとがきに代えて) 慶應義塾大学文学部教授
佐藤真基子(第15章) 前富山大学教養教育院教授
田口 茂(第4章) 北海道大学大学院文学研究院教授
武内 大 (第7章) 立正大学文学部教授
中 真生 (第14章) 神戸大学大学院人文学研究科教授
中村 佑子(第13章) ドキュメンタリー作家、立教大学現代心理学部映像身体学科講師
村上 暁子(第12章) 慶應義塾大学文学部助教
村田 憲郎(第5章) 東海大学文学部教授
※吉川 孝(はじめに、第10章) 高知県立大学文化学部准教授
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